不純邪道フラメンコ狂日記

第三便 7月27日
熊本ブエノスアイレス

カルロスの話をしよう。
カルロスは耳の大きなメキシコ人。
でも日本語がペラペラ。
だってカルロスは
日本に何十年も住んでいる。

カンテが聞けて
大喜びなカルロス。
誰彼かまわずキスをする。
そんなカルロスのこと
たまに思い出しては
ハラが立つ。

カルロス、大好きだぜ!

ミゲルが唄っている間
楽屋に戻ったディエゴは
カウンターにあったタバスコを
おもむろにミゲルの飲みかけのウイスキーグラスに
数十滴たらすと、ほくそ笑んだ。

ディエゴよ、何故お前はそんないたずらをするのだ。

楽屋に戻ったミゲルは
何事もなくウイスキーを飲み干した。

ディエゴよ、残念だったな。

ディエゴのだんごっ鼻のちょうどてっぺんに
1本長い毛が生えている。
それは重力の法則に反して
逆向きに反り立つ。

それをじっと凝視した。
おもむろにディエゴの鼻をつかんだら
ディエゴが怒った。

ディエゴ、ごめんね。

−第三便 完−
更新日2004年11月2日

ミゲル