カルロスの話をしよう。
カルロスは耳の大きなメキシコ人。
でも日本語がペラペラ。
だってカルロスは
日本に何十年も住んでいる。
カンテが聞けて
大喜びなカルロス。
誰彼かまわずキスをする。
そんなカルロスのこと
たまに思い出しては
ハラが立つ。
カルロス、大好きだぜ!
ミゲルが唄っている間
楽屋に戻ったディエゴは
カウンターにあったタバスコを
おもむろにミゲルの飲みかけのウイスキーグラスに
数十滴たらすと、ほくそ笑んだ。
ディエゴよ、何故お前はそんないたずらをするのだ。
楽屋に戻ったミゲルは
何事もなくウイスキーを飲み干した。
ディエゴよ、残念だったな。
ディエゴのだんごっ鼻のちょうどてっぺんに
1本長い毛が生えている。
それは重力の法則に反して
逆向きに反り立つ。
それをじっと凝視した。
おもむろにディエゴの鼻をつかんだら
ディエゴが怒った。
ディエゴ、ごめんね。