10月19日

成田までディエゴを迎えに行く。
羽田からリムジンバスで向かったのだが、この日の西日本新聞の朝刊に23日の福岡公演のインフォメーションが掲載されたため、1時間に二本の割合で電話がかかり、移動中の身では対応が大変であった。改めて、マスコミの力を感じる。
この日よりの新聞掲載で、30名そこそこの予約状況が一挙に席数を網羅することとなった。
堀越エッセイのファンが大多数をしめる。

成田に着いた。
ディエゴが到着する時刻まで、小一時間あるので、チキンカツレツを食べる。
サイドにはケッチャップをまぶしただけのスパゲッチーだ。
思うにサイドメニューにゆで卵とか目玉焼きとかスパゲッチーとかマカロニやポテトサラダがあるとそれに惹かれて注文される率が高い気がしませんか?
逆に酢の物があるとがっかりしませんか?

成田空港の出口はA、B二つあるので、フライト掲示板をみて、アムステルダム発の飛行機の到着時刻で出口を確かめ待つ事しばし。
乗客がどんどん降りて来る。ディエゴは来ない。
まあ、奴さん達が最後尾に出て来るのはいつものことだからな、と高をくくって待っていたのだが、どうもおかしい。
さっきから降りて来る乗客が日に焼けたアロハとか着ているのばかりになってきた。
私の世界地図把握が正しければ、オランダは常夏の国ではない。
それとも葉っぱの決め過ぎで、身も心もジャメイカンになったラリパッパ諸氏が降りて来たのであろうか。
いや、その割には「ジャージャー」言ってないぞ。
すは、一大事。というわけでカウンターに問い合わせると、入管でゴタゴタしている人の有無は教えてくれたが、それ以上は個人情報保護法をたてに一切を教えてくれない。
THE 杓子定規の神髄を見せて頂きました。

ホセ・メンドーサと戦いがために、メキシコへ飛び立った矢吹丈を追いかけ空港に駆けつけた丹下段平さんも、以前は丈が飛行機に乗っていないと教えてもらえもしたが、
世が世なら個人情報保護法をたてに、カウンターで一悶着あったことだろう。段平さんのハードコアな執着に
カウンターの周りには人だかりができ、涙で顔をぐちゃぐちゃにした段平さんが、
「じょおぉーーっ!何処へ行っちまったんだ!!(涙)」
そして、人ごみの中から、
「おっちゃんよぉー、人前で泣くなんてみっともない真似はやめなよ。(あおい輝彦)」
と矢吹丈が登場。
なんてシーンを思い浮かべたのは、昨日見た漫画の中で、段平さんが、
「20時50分の便しかねえと調べて空港に駆けつけてみたが、矢吹なんて男は乗っていないという…」
と言っていたからだ。

しかし今回ぐらいの事態ならともかく、生死にかかわるような深刻な事態においても奴さん達は個人情報保護法をたてに、職務に忠実であろうとするのであろうか?

無駄とは分かりながら、場内放送を頼む。
「黒いジャンパーにジーンズ姿の60歳のディエゴ・パストールちゃんが迷子になっております。お心あたりのある方は連絡カウンターまでお願いします。」
パストールちゃんはやっぱり現れなかった。

きっとアムステルダムで乗り継ぎに失敗したのだろう、
と判断したうえで、ここにいても始まらないので、当初の予定通り、
ザギンでテンコーのティーパーをしている堀越さんのところへ向かうべくシータクは高いのでスーバでコークーを後にした。
(銀座で個展のパーティーをしている堀越さんのところへ向かうべくタクシーは高いのでバスで空港を後にした。)

銀座という地名に触れると思わず業界用語に変わってしまうのはシワタだけであろうか。
ザギンに着いた。
個展会場の画廊は人でいっぱいだった。
そこにいたある人の個人情報のおかげで、ディエゴが乗ったイベリア航空が離陸の遅れでアムステル発の便に間に合わず、
結局一日遅れで到着することが判明。
THE 個人情報保護法の真実を見せて頂きました。

画廊を後に、有志数名でザギンでグーフー(フグ)でも食べられたら言うことはないのだが、小洒落ているだけで、その分料理は何の変哲もないくせに、量も少なくそのくせ値段だけは高い居酒屋でシーメ(飯)を食う。
そこで今回のギタリスト若林雅人さんと顔合わせ。
会食後、解散。
堀越さんと宿泊先の高円寺に行って本日終了。