10月26日
今日から広島である。
広島という地名を聞くと、思わず書体が広島弁に変わってしまうんは、やっぱワシが重度の「仁義なき戦い」病だからじゃけぇ。のう。
「アグヘタのカンテ言うたら、ソレアかシギリージャしかないんで。（眉間にシワを寄せて低い声を共鳴させて読むこと）」
の言葉どおりのショーに、かたぎの皆様は注文したビールを口にするのも忘れるほどに聞き惚れた。
そして、ショー終了後、ビールを口につけるやいなや、
「ワレこりゃ馬の小便か！ビールならもっと冷やーたの持ってこいや！」
の怒号があちこちのテーブルで聞こえる程、物騒な街では広島は勿論ありません。
「アグヘタファミリーは芋かもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで。（意味不明）」
場所が移動する。
スペイン、アンダルシア、ロタ。
ドアの窓ガラスが割れ、アンヘル（ホアン息子）が吹き飛ばされる。
そこへ車が到着、窓が開くとルイス（アグヘタ５男）が顔を出す。
「よお、アンヘル。どうしんなら？」
「ルイスのおじさん。助けてつかえ。ミゲルの叔父貴が暴れて手がつかんです。」
「ミゲルが。」
場面変換
アフィシオンレコードのCD「武ロンセ」が散乱している。
木刀であちこちを叩き回っているミゲル。
それをマヌエル（ホアン息子）が必死で後ろから押さえている。
「腐れ外道！」
「叔父貴！こらえてつかえ！こらえてつかえ！」
「離さんなら！」
ルイスが現れる。
「よお、ミゲル。どうしたんなら。」
ルイスの顔を見て、ミゲルは暴れるのを止める。
「ルイスか。どうしたもあるかい。ディエゴの外道は日本に行ってるのに、ワシには声もかからんのじゃけぇ。
アフィシオンレコードの百姓に木っ端喰らわせちゃる。」
「そがあなことかい。向こうには向こうの立場があるんじゃけぇ。考えてやりないや。そがあなこと言うんじゃったら、ワシは一度も呼ばれとりゃせんよ。（屈んで「武ロンセ」を一つ拾う。ミゲルに見せながら。）こんなんはCDも出してもろうとるし、まだましじゃ。そんとらことで怒っとったら若いモンに格好つかんじゃろが。」
ミゲル、ルイスの顔を見つめる。納得して木刀を渡す。
「こんなんに比べたらワシは恵まれとるわい。気分なおしに飲むぞ兄弟。」
「それよりオナゴでもからかいに行くか？」
「相変わらずのマラボケじゃのう。」
「ハハハハハハハハ」
笑いながら肩を組んで外へ出て行くミゲルとルイス。
「おう。お前らも来いや。」
「へい！」
二人の後を追うアンヘルとマヌエル。
場面変換
路上で花を売るミゲル。
そこへモネアが現れる。
「ブロンちゃんよぉ。（口をすぼめて読むこと）」
「よお、モネア。何ならぁ」
ミゲルの耳元でささやくモネア。
「のうや。聞いちょろうが。ディエゴが日本に行ってるげな、ゆーて。」
「ああ。知っちょるよ。」
ぶっきらぼうに答えるミゲル。
「何でこんなんは呼ばれんかったんかいのう。」
「そがあなこと誰が知るかい。」
不機嫌そうに立ち去るミゲル。
ミゲルの肩に手をかけ、呼び止めるモネア。
「おっと。ちょっと待ちないや。ワシが聞いたところによると、
今回のことはシャキーが絵図描いてのことで。」
「シャキーが？」
「ほうよ。初めはミゲルさんとディエゴさんでという話を、シャキーがミゲルは呼ばない、あれは自分の健康管理もできんボンクラじゃけぇ、また喉を痛めて唄えんくなったら往生するど、言うてアフィシオンレコードのケツ掻いたげな。
ほして、こんなんのギャラはディエゴとシャキーで山分けしとるんど。ワシはこんなんが不憫で不憫で、こうして話に来たんじゃない。」
怒りに顔色を変えるミゲル。
バケツに入った花を地面にたたきつける。
飛び散る水。転がってゆくバケツ。
「腐れ外道！おどれタコのクソ頭のぼせやがって！おどれら全員木っ端喰らわせちゃる！」
走り去るミゲル。
屈んで散乱した花を一輪拾い、匂いをかいでほくそ笑むモネア。
場面変換
ヘレス。路上。
一列になって歩いているディエゴ、シャキー、ワカバヤシ、アンヘル。後方より若いヒターノが一団を追い抜いてゆく。
「堀越のおじさん。こんちわ。」
「おう。」
「あれはどこのヒターノな。」
「どうせ、どっかのボンクラじゃろ。」
追い抜いたヒターノは数メートル先で座り込むと、靴ひもを結び直す真似をしながら、懐より拳銃を抜き取り、恐れながらもシャキーに向かって発砲する。
そのまま、狂乱しながらさって行くヒターノ。
「外道！」
ヒターノを追いかけるディエゴとアンヘル。
「堀越さん！堀越さん！」
倒れたシャキーを介抱するワカバヤシ。
ナレーション。
『この一発の銃弾から、アグヘタファミリーの血で血を洗う
仁義なき戦いが始まったのである。』
タイトル「仁義なきアグヘタ～アンダルシア死闘篇」の後にテーマ音楽とクレジット。
♪ドンドンドンドンドンドン、ドンドンドンドンドンドン、♪チャララーン、チャララーン、チャンチャンチャンチャチャンチャンチャンジャンジャンジャン、バリバリバリ～
DJが「仁義なき戦い」サントラから、パリージャのソレアにつなげ、軌道修正。
追記）アグヘタファミリー総出演。オールアンダルシアロケの実録巨編「仁義なきアグヘタ～アンダルシア死闘篇」を是非観たい！という方はアフィシオンレコードのCDを
沢山沢山買って下さい。（笑）