真夏の夜の和田アキ子

“真夏の夜のフラメンコ”ツアーが始まる。
昔、「真夏の夜のジャズ」というドキュメンタリー映画があり、そこからタイトルを拝借した。と、書くと聞こえがいいが、さにあらず、和田アキ子の隠れた名曲「夏の夜のサンバ」からの引用が正しい。真夏と真がついているのは、ピチカートファイブの小西康陽の和田アキ子リスぺクトから生まれた和田ソング「真夏の夜の23時」との混同から生まれた勘違いによる。こちらも和田らしさにあふれた1曲である。
「夏の夜のサンバ」
♪ギラギラ太陽が沈んだら、男と女はハッシッシッ♪
いきなりのマリファナを讃美する、ピースなヴァイブレーション全開のTUNEだ。こんな歌がどうどうとリリースされていたというのもすごい話だと思う。
というわけで、
この夏は
♪ギラギラ太陽が沈んだら、男と女は星のフラメンコ♪と歌っていただけたら幸いである。
一途なフラメンコファンの方は、「星のフラメンコ」を「邪道だ!」の一言で、一括しそうであるが、
そがーに、ケツの穴のコマイことを言っていても、何の発展性もないと思うから、星のフラメンコだ。
むしろ、フラメンコの知名度をあげるために利用する方がかしこいのではないか。
私は、いつかカンテが歌える日が来たなら、ソレアの節で「星のフラメンコ」を唄ってみたいとさえ思っている。
♪好きなんだけど 離れているのさー (ソレアの節で)
ともあれ、雑兵には、ポリシーも哲学もない。ただ生きるのみ!
和田アキ子をテーマに徒然ざるまま、雑兵は突撃する。

私の初めての和田アキ子
もう25年以上前になるだろう。正月番組だったと思う。
「なんで×××が紅白に出れて、ウチが出れへんの」
とむくれる和田アキ子の楽屋にレポーターがトロだけの寿司、50人前(これは和田アキ子伝説による勘違いで、きっと1人前でしょう。)を届けるシーンを何故か憶えている。
その後、NHKと和解した和田アキ子が、紅白歌合戦で数々の名唱を披露しているのは周知の事実である。紅白の終わり、皆で「螢の光」を合唱する際、いつも和田アキ子が頭一つ抜きん出てデカイのである。いつしか「和田アキ子は今年もデカかったな。」と確認する作業が、その年を締めくくる行事となった。

どしゃぶりの雨の中で
朝の4時半、ボートの早朝練習のため、名島は多々良川まで、自転車は行く。
警固本通りから国体道路を抜ける。屋台が後かたづけをしている頃だ。新天町を通過、福銀本店、ビルの頭上にオレンジの丸い光が瞬く。人影はない。じりじりと孤独を照らす。ショッパーズを通り過ぎると、あとは3号線をひたすら東へ。
それは毎日続く。雨の日であろうと、どしゃぶりの雨の日もある。そんな時、頭の中には、いつもこの歌があった。ママチャリを空しく漕ぎながら、時には大声でこの歌を歌った。
♪とても悲しいわーあなたと別れてー、どーしゃぶりーの雨の中ーで私は泣いたー♪

あの鐘を鳴らすのはあなた
話はエジプトだ。
モーゼが十戒を授かったといわれるシナイ山へ、日の出を見に登った時のこと。
日の出についてではなく、その帰り道。
ゴツゴツした岩ばかりの道、足腰の感覚も無くなっており、無意識のうちに何度も転んだ。頭上に太陽が輝きはじめ、涼しさがどんどん遠ざかって行く。
岩の隙間にパラパラと丈の短い草が生えている。穏やかな風景ではあるが、生存の恐怖をひしひしと感じる。2時間もたったと思う。やっと麓が見えてきた。街まで1本の緩やかな坂道が続く。わきに教会があった。達成感からくる幻想だろうか。
目の前が明るく開けた気がした。そしてその時、教会の鐘がなった。
♪街は今ー砂漠の中ー あの鐘を鳴らすのはあなたー♪

2004 7月4日更新
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