ミゲルの料理教室(1)
モロヘイヤスープの作り方
ページ末にイラスト版レシピへのリンクがあります。
ご参照ください。

アイアイアイー
俺様はミゲル・パストール、通称“ヒタ−ノ・デ・ブロンセ”青銅色のジプシーだ。
といって、本当に青銅色してるわけじゃないぞ。今度、コンパドレ、シャキーに頼まれて何度目かの来日をすることになった。日本の皆様が、どうしても俺様のカンテを聞きたいとなれば、行かないわけにはいかないぜ!それで俺様ことミゲル・パストール“ヒタ−ノ・デ・ブロンセ”様が来日記念に得意技の料理を披露することにする。何、似合わないだと。バカにしちゃいけないぜ。俺様の本職は花売りだ。色とりどりのきれいな花を前に、うっとりする乙女ちっくな側面も持っているのさ。パチパチした睫毛を見てくれよ。どこか少女マンガっぽいだろ。そんな俺様は料理が趣味なんだ。いつもディエゴの嫁のイレネに手ほどきしてやっているのさ。あいつときたら水色の服を着るしか能のない、おっとあんましレディの悪口を言っちゃいけねーな。前置きはこれぐらいにして、そろそろミゲル様の料理教室の始まりだ。

第1回目はモロヘイヤスープでいってみるか。ちなみにこれはエジプト料理だ。何、関係ねーじゃないかだって、細かいこと言っちゃいけねーぜ。何しろ俺様は本人じゃないんだからな。まあトリビアを披露するなら(俺様は日本通なのさ。)、ヒタ−ノを始め、ジタン、ジプシー、その語源は、その言語で“エジプト人”を意味する言葉から来ている。ジプシーの場合、エジプシャン、ヒタ−ノならエプヒタ−ノといった具合だ。そういう訳で関係ないことはない。日本の皆様はこれに「何へえー」をくれるのかな。アグヘタファミリーで一番きつい「へえー」をかますのはチャンだ。意外だろ。誰だチャンって、あいつは俺の家の近所の中学の先公で、ファミリーじゃねえー。巨漢のパコがけっこーかわいらしい「へえー」をかますんだ。おっと料理教室のはじまりにしちゃー、お下劣すぎるな。レディに嫌われちまうぜ。仕切り直して、料理教室の始まりだ。アイアイアイー。

調理される野郎どもは、ニンニク、赤唐辛子、モロヘイヤ、レモンだ。まずはニンニク2、3かけ、俺様の料理にこれでなくてはいけないという量はないんだぜ。4、5かけでもいいが、まるまる1個使うのは止めた方がいいぜ、あと赤唐辛子3、4本をみじん切りにして、奴さん達をバターとオリーブオイルを溶かしたフライパンの上でいためつける。いいか、奴さん達がキツネ色になるまでいためつけるんだぜ。ここが勝負どころだ。奴さん達をいため過ぎるとスープが焦げ臭くなっちまう。この微妙な境界点は何度も作ればわかってくるぜ。まあ、焦げた奴を喰っても死にゃしねーんだから気にするな。で、奴さん達をコンソメスープ(チキン味のコンソメスープの素、1つに水1カップ、スープの素2つに水2カップで作るといいぜ。)に入れちまうんだ。この時、お玉ですくい、フライパンを洗い流す感じで入れるといいぜ。次はモロヘイヤを片付ける番だ。スーパーで売ってるモロヘイヤの半分くらい、葉の部分を乱暴に引きちぎれ、握って引っ張る感じだ。で、こいつをモロヘイヤカッター、三日月の形をしたナイフでギコギコ、粉々になるまでみじん切りにする。これは結構楽しいもので、俺様は思わずアレグリアスを唄っちまう。
ティリティタンティリティタンティリティタンタンタンタンタンーってな。
何、モロヘイヤカッターなんて持ってないだと。
おいおい、頭を使いなよ。ただ細かくみじん切りにするだけなんだから、普通の包丁で十分だ。さっきも言ったろ、こうでなくちゃならないなんてないんだぜ。
この場合、肝心なのはブレリアのリズムで刻むことだ。
タンタンタンタンタンタンタンタンタンってな。
で、きっと粉々でネバネバの物体がまな板の上にのってるだろうから、こいつをさっきのスープに入れる。で、よくかき混ぜて固まったモロヘイヤを分離させるんだ。
で、最後にレモン、こいつがいるといないでは大違いだ。モネアのパルマみたいなもんだ。そのレモンの奴を1/3くらい切って、ぎゅっとスープに絞り込むってわけだ。あんまし入れ過ぎるんじゃないぜ、酸っぱくなっちまう。おおよそ1/3がいい。この辺もモネアと同じだな。あいつは大人しく俺様のカンテの横でパルマをやってりゃいいんだ。おっとあんましファミリーの悪口を言っちゃいけねー。俺はジェントルマンのミゲル様だ。というわけで、モロヘイヤスープの完成だ。簡単だろ。クソ暑い夏にはこれが最高だ。試してみてくれ。
あ、いけねー大事なことを忘れていた。味見して、まあ大丈夫だと思うが、薄いなら塩で味を整えてくれ。でなきゃ、俺様のソレアを聞かせてくれ。
パラパラと塩がまぶすこと請け合いだ。

この文はミゲルヒターノデブロンセの
イメージをもとに書かれたものでフィクションです。
2004 7月16日更新
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