石川五右衛門
特攻大阪城殴りこみ作戦・秀吉暗殺!

再び、「黄金の日々」の話。呂宋助左衛門のもう一人の友達石川五右衛門について触れたい。この出生の定かでない人物は、物語を膨らませるのに欠かせないのか「秀吉」ものの大河ドラマにはよく登場する。そして秀吉暗殺失敗→釜茹での刑という定石が描かれる。
今回のテーマは、石川五右衛門の秀吉暗殺についてである。「黄金の日々」で五右衛門を演じたのは根津甚八、ネヅ八と川拓のスタンス(二枚目と三枚目)を反映しているのか、杉谷に比べ石川のクライマックスは非常に格好よいのである。
概要はこうだ。
あまりの度を越した暴君"ブッシュ"に、一介の庶民であるミゲルは憤りを覚えるばかりだ。ある時ロタにある自宅近くの海軍基地に"ブッシュ"が訪問することを知り、仲間と共に襲撃することを計画する。
武器が必要である。
ミゲルはモネアと共に対岸のタンジールへ向かった。海を越えればそこはアラブである。怪しげなスーク(市場)を徘徊する二人。目的の武器商人はすぐ見つかった。ただ、肝心の武器の値段であるが、ミゲルのアフィシオンレコードからのギャラでは、拳銃一つ買えぬ有様である。
「俺は小銭しか持ってねーよ。」
モネアを連れてきたのは間違いであった。
ミゲルは悔しさに男泣きする。
「これじゃ"ブッシュ"をやることができねぇ。」
"ブッシュ"の言葉に武器商人が反応した。 
「お前さん達、アメリカをやるつもりかい。それなら話は別だ。好きなものを持っていけ。」

決行当日。アグヘタファミリーが勢ぞろいだ。
ミゲル、パコ、ディエゴ、モネア、ルイスにシャキー。
ミゲル「ペドロはどうした。」
パコ「あいつはドロレスが引き止めるんでくることができねえ。」
ディエゴ「チャンは?」
ミゲル「あいつは俺の家の近くの中学のセン公でファミリーじゃねえぞ。」
ルイス「だべってないでそろそろ行こうぜ。」
皆は立ち上がり、ドアに向かう。
「シャキーッ!」
出て行こうとするシャキーにミゲルが言った。
「何だ。」
シャキーが振り向いた途端、ミゲルはシャキーのみぞおちに一撃をくらわせ、シャキーは倒れた。
「奴をまきこむわけにはいかねえ。」
皆黙ってうなづいた。

夜、人影のない道を横一線に並んでアグヘタファミリーが歩く。
「あーーいーーーっ!」
緊張をほぐすためミゲルが一節唸った。
続いてディエゴ、パコ、ルイスと交代で唄っていく。皆の顔を頼もしそうに見て笑うミゲル。
再びミゲルが唄おうとした時、前方からギターの音が鳴った。
「ジャンジャンジャンバリバリバリバリーーッ!」
姿を見なくてもわかる。パリージャだ。
「カンテを唄うのにギターが要るんじゃねぇーのかい。」
男気あふれるセリフをパリージャは甲高い声で言った。
「パリージャ!」
皆が喜んでパリージャのまわりに集った。
「どうだい、あそこにバルがある。いっちょフィエスタといこうじゃねえか。」
誰も反対するものはいなかった。
こうしてその晩、アグヘタファミリーはパリージャのギターで、心いくまでカンテを唄い"ブッシュ"暗殺は自然消滅した。翌日、事の顛末を知ったシャキーは大いに悔しがり、しばらくミゲル達とは口を利かなかったそうな。後日、バルのオーナーが武器類の不法所持で当局に逮捕されるというオマケがついた。そして全ては元に戻った。
〈完〉

どこが石川五右衛門の話しやねんとつっこみが入ったところで今回は終了。

P.S どうしても五右衛門の活躍が見たい人は、レンタル屋で「黄金の日々」を借りて確認せんことを。

2005年5月10日更新
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