ブルガリア

最近、琴欧州の活躍で、俄然注目を浴びるブルガリアであるが、日本におけるそのイメージはやはり「ヨーグルト」であると思う。もちろんそれは、明治ブルガリアヨーグルトのみに起因するはずだ。かってテレビ で、長嶋茂雄にいろいろなコメントを求め、そのおかしな回答で笑いをとるというチョーさんいじりのバラエティ特番があったが、その時もチョーさんはヨーグルトの味についてのコメントの際、ご多分にもれず、「うーん、いわゆる一つのブルガリア云々」と述べ、観客に笑われていた。ここでの笑いはヨーグルト=ブルガリアという図式が、チョーさんを始め、出演者、観客、視聴者の間で共通のものとして認識されていなければ起こらないものであり、それが前述したことを裏付けもしているはずだ。
果たして、ブルガリア人は言う程、ヨーグルトを食しているのであろうか?
例えばイタリア人のスパゲッティ程には、他の国民を大きく引き離すくらいブルガリア人がヨーグルトを消費しなければならない魅力が、ヨーグルトにあるとは思えないのだ。
きっと宣伝による刷り込みであるから他の国民、アメリカ人やフランス人の中にブルガリア=ヨーグルトなどという図式が生まれていることもないだろう。
明治乳業してやったりか?あるいはブルガリア政府は多年に渡り、偏見を刷り込み続けている明治乳業を訴えてもいいのではないか!?
今度、ブルガリア大使館に陳情してみよう。
と書いてはみたが、こんなせんない戯言は琴欧州の張り手で吹き飛んで終わる話だ。
でもいつの日か、佐渡ヶ嶽部屋の力士に琴乳酸のしこ名を持ったブルガリア人力士が誕生することはありえない話ではない。違うか?

ブルガリアヨーグルト以前に、あの柔らかさで、ああいう食べ方、別途砂糖や蜂蜜をかける、をするヨーグルトは存在しておらず、その登場は登場でそれなりにインパクトのあるものだった。それにブルガリアというなじみの薄い国名を冠したことが、戦略的勝因の多くを占め、付随してブルガリア=ヨーグルトという刷り込みまで出来上がったしまったのが、現状なのではないだろうか。何を結論付けているんだ。
ブルガリアヨーグルトで忘れられないのは「まんが日本昔ばなし」だ。
放送開始と発売が同時期だったと思う。
確か、スポンサーだったかもしれないし、ともあれその時間帯にそのCMをたくさん見たと記憶している。
思うに、昔話という眠っている日本人の遺伝子を呼び覚ますものと同時にCMを見ているものだから、ブルガリアヨーグルトが金太郎や花咲か爺さんなんかが収まる脳みそのスペースに同じくインプットされてしまったのではないか。その心理的影響がブルガリア=ヨーグルトという図式を作り上げてしまったというのもあながち的を外れてはいない。
司馬遼太郎。今、西郷さんは私学校のニセドンに担がれて、ついに太政官政府に宣戦を布告。ここまでたどり着くのに7巻。長かったとです。

かって土曜の夜といえば、19時から「クイズダービー」で、はらたいらに3000点をかけ、続いて「まんが日本昔ばなし」そして「全員集合」へと流れ込むのが定番サタデーナイトであった。明日は休みという開放感も合わせ持った、そのゴールデンタイムなのだが、たまに昔話で救いようのない暗い話が放送され、台無しにされることがある。
その例を二つ述べる。

その一。貧乏な父娘、まあ昔話の主人公は往々にして貧乏だ、が侘びしく暮らしている。
ある日、娘は小豆餅が食べたいといい、父親は仕方なく神社に供えてあった小豆をぎり(長崎弁っす。)娘に食べさせる。そこでは大事にいたらないのだが、ある大雨の日、村の近くの川が氾濫しそうになった時、村人が数人、父娘の家におしかける。
「貴様(きさん)、神社の小豆ぎったろうが。何ばしよると。腹かく真似ばしくさって!来いや!」
「わしは知らんですけん。」
「うそつけ。こんガキが手まり歌で、おとう早よ小豆持て来い言うて歌とったくさ。」
父娘は顔面蒼白となる。こうして哀れな父は村人に連れ去られ、人身御供として土手に埋められてしまうのだ。そして話は何の救いのないまま娘の手まり歌とともに終わる。
ちなみにこの昔話は九州が舞台というわけではないし、この九州弁もきっとでたらめである。
その二。ある旅館で泊まり客が眠っている時に子供の声で起こされるという怪事件がぼっ発する。宿の主人は真相を確かめるため、問題の部屋に泊まってみる。布団にはいった主人。夜半過ぎ、たしかにどこからか「寒かろ」「アンちゃんこそ寒かろ」という子供の声が聞こえる。落ち着いて声の出所を探す主人。タンスでもない。置物の猫でもない。一つ一つシラミつぶしに探した挙げ句、声の出所は主人の被っている布団であることがわかった!何故、布団が喋るのかというと、この布団のそもそもの持ち主は親を失った幼い兄弟で、何もかもを借金取りに取られ、最後は布団だけになった或る寒い夜、二人抱き合い布団に包まり暖を取っていたところ、冷酷非情な借金取りが押し掛け、それすらも奪ってしまうのだ。兄弟はその夜凍死した。そしてその声のみが布団につくことになる。布団が手厚く葬られた後、声は聞こえなくなった…

これを見たおかげで、その後は全員集合もあったものでなくなった。子供は「俺のサタデーナイトをどうしてくれるんだ!」というやり場のない怒りを腹のうちで発酵させるしかない。今となってはそれも酸っぱい思い出だ。

最後にブルガリア系ヨーグルトを秋口から食べ続けると花粉症に効果があるそうです。
ただし、どのメーカーでもいいから同じものを食べ続けなければならない。
私は毎回挫折しているので、その真意の程は分からない。
食べるのはもちろんブルガリアヨーグルトだ。

更新日2006年3月6日更新
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